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2013年 12月 10日 ( 1 )

八重の桜

 NHK日曜大河ドラマ「八重の桜」がいよいよ最終盤を迎えつつある。肝心の八重が主人公になり切れいていないなど、地元福島でも必ずしも好評ではなかったようにも聞いているが、私としてはなかなかよく書けたドラマだと思ったし、思わず涙がこみ上げてくることも一再ならずあった。
 とはいえ、毎週欠かさず見ることが出来たわけでもなく、一昨日の日曜日の放映分もビデオで見た。
 先週の新島襄の死に続いて八重の兄・山本覚馬と松平容保の死が描かれる。そのことだけみれば、いかにもドラマとしては山場を過ぎ、エピローグに向かって坦々と進行しているようにみえる。
 だが、オープニングに明治23年発布の「教育勅語」を配し、「教育に名を借りて国民をしばるようなことがあってはならない」と山本覚馬に語らせる。本当に山本覚馬がそのように語ったのかどうかは知らないが、特定秘密保護法案では批判的立場に立ち切れなかったNHKが、ドラマの場とはいえよくぞ踏み込んだと感心させられた。
 「八重の桜」は被災地福島の応援という意義づけもされようが、主題的には日本近代の相対化であり、薩長土肥(官軍)側からのみ見たのではない歴史の再検証である。ドラマでは山本覚馬に、「薩長にも、会津にもそれぞれの義があった」と語らせている。一見するとさも優等生的で、あたりさわりのない結論の出し方のようにも思われるが、対立をどう乗り越えるかに対する問題提起でもあるように解釈した。
 会津戦争についても「戦は避けられたはずだ」と語らせる。それは歴史のエネルギーという混沌の前に置いてみると、いかにも難問であるが、人間の叡智に投げかけられた重い宿題でもあるだろう。
 そして、「だが、また戦は始まるだろう」のことば通り、時代は日清戦争に向かって風雲急を告げていく。あたかも、緊張高まる今日の世界情勢のアナロジーであるかのごとくに。
 一昨日の回のタイトルは「再び戦を学ばず」。当時の世論はむしろ主戦論に傾いていた。そんな中、会津戦争では銃をとって戦った八重は、今度は赤十字の看護婦として戦地に向かおうというのである。次回が最終回。これも見逃せない。

 「死んでいった者はどこへも行きはしない。みな、あなたの後ろであなたを支えている」(八重に語りかける新島襄のせりふ)…う~ん。こんなせりふで目の奥であふれ出そうになるものがあるようになったのは歳のせいなのだろうか…。


by yassall | 2013-12-10 01:29 | 雑感 | Trackback | Comments(2)