10月1日付の聯合ニュースによれば、日本が半導体・ディスプレー材料3品目の韓国への輸出規制強化に踏み切って約3か月が過ぎたが、主に半導体の製造工程で使われる液体のフッ化水素の輸出許可が1件も出ていないことが分かったとのことだ。 こうした半導体素材の国産化は文在寅政権の方針のもとにすすめられている。今度のことで財閥系企業としても日本に生殺与奪を握られることには警戒心を強めだろうし、相当規模の予算も投じられていることから、たとえ文政権に批判的であっても国産化の推進は歓迎していることだろう。 韓国の文政権は、この構造に挑戦する意志をもっているようにみえる。(中略)(日韓条約を)締結したのは、軍事独裁政権であった李承晩や朴正煕政権である。現在の文在寅大統領からみれば、このふたつの政権自体が、正統な政権ではなかったということだろう。それは朝鮮戦争を背景にしてアメリカがつくりだした傀儡政権にすぎない、ということである。だからこの政権が結んだ日韓条約も、みなおす必要があるというのが、現政権の本音であるように思える。(「新しい激動のはじまり」/『東京新聞』「時代を読む」2019.9.8) このような動きが生まれた大きな原因は、アメリカの力の低下と中国の台頭だろう。力を低下させたからこそアメリカは、外交を国家間商取引としか考えない大統領を生み、中国は自国を柱とした新しい世界秩序の創造を要求している。(同前) として「戦後の終わりと新しい激動のはじまり」を予言し、「戦後的安定とは異なる」世界をつくるための構想力が求められるとしている。 (戦後冷戦構造の)呪縛から自らを解放し、パワー・ポリティックスにしがみつくアメリカとの関係を批判的に総括するとともに、脱パワー・ポリティックスの新しい国際秩序を提唱する中国を直視し、その中国との協力の可能性を視野に入れる真新しいパラダイムを我がものにしない限り、私たちが「脱冷戦の新たな北東アジアの秩序」形成の主体的担い手になることは難しいと思います。 個人的には、今日の香港情勢などを直視すると、「中国との協力」にはまだまだいくつもの障壁があるように思われる。しかし、無視し得ない巨大な力を蓄え、一帯一路構想やアジアインフラ銀行を実行しつつある中国に対して、たとえば中国の海洋ルート確保に敵対し続けるような防衛構想を持ち続けることが真に国益にかなっているのか、日本も再検証のときが来ているように考えるのである。 日韓基本条約と日韓請求権協定が結ばれたのは1965年。(中略)当時は日韓の間に明確なパワーバランスの差があった。しかし、韓国の国力の飛躍的高まりにより、両国の関係性が変化した。「朝鮮戦争後、『外勢』に押し付けられた休戦協定体制から、『朝鮮半島における平和体制』を自ら創っていこうとしている。」(「韓国と『友人』であることは諦めた方がいい」文春オンライン、2019.8.7) ジョージメイソン大学博士課程にあってメッセージを送り続けている古谷有希子氏も「60年代から70年代の韓国にとって、日本は貿易対象国としても、また国家の発展モデルとしても重要な存在」であったが、その重要性は時を経て「徐々に下がっていく」として、次のようなデータをあげている。 1960年の貿易対象国の中では、日本は輸出の6割を占めていたが、1975年には25%、1985年には15%、そして2005年には5%まで下がっている。 そして日本の政府要人が繰り返す歴史修正主義的発言の裏にあるのは、「韓国ごとき」「日本より格下」といった植民地的差別心であり、「馬鹿にしていい相手」「何をしてもやり返せない相手」といった認識を改めない限り、いつまでも韓国を相手に歴史問題を先に進めることはできないとしている。
by yassall
| 2019-10-11 13:23
| 雑感
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