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根津神社からプラド美術館展へ

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 日本でベラスケスが見られるという。こんな機会を逃す手はないのだが、どうしたわけかなかなか足が向かなかった。10日も最初は西洋美術館が頭にあったのに、結局弥生美術館に行ってしまった。26日になってようやく腰を上げたのも、実は根津神社行きが先で、その後に上野に回れるとの算段からだった。
 とはいえ展覧会として充実していることに異議はまったくない。これまで図版でしか見たことがなかった「狩猟服姿のフェリペ4世」「バリェーカスの少年」などを間近に見られるなどということはもうないだろうし、こうした企画展にありがちなベラスケス以外は凡庸な作品を並べ立ててお茶を濁すなどということはなく、さすがにプラド美術館の所蔵作品だと感心させられる。ときとしてベラスケスが他の作品に埋もれてしまうほどだった。
 それは、たとえば「狩猟服姿のフェリペ4世」には明らかに描き直しの跡があり、まだ筆が定まっていないことが見て取れるといったこともある。しかし、それ以上に何か痛ましいものを感じ取ってしまうからかも知れない。
 『怖い絵』の著者中野京子によれば近親婚を繰り返した「高貴なる青い血」のスペイン・ハプスブルグ家の黄金期は2代目のフェリペ2世までで、4代目に当たるフェリペ4世は「無能王」とよばれ、その凋落のもととなった。戦争をすれば負け、領地を激減させた。ただ審美眼にはすぐれ、ベラスケスを宮廷画家として登用し、重用した。今日、フェリペ4世が歴史に名を残すのはベラスケスによってだというのは皮肉なことである。
 「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」に描かれたバルタサールはフェリペ4世の最初の王妃であるエリザベートの間に生まれた王子である。しかし、悲運にもバルタサールは16歳で早逝してしまう。その後、フェリペ4世は姪のマリアナと再婚する。「ラス・メニーナス」に描かれた王女マルガリータはマリアナとの間の子である。同じくマリアナとの間に生まれたカルロス2世がスペイン・ハプスブルグ家の最後の王となる。親ゆずりの特徴的な面長の顔の肖像画が残されているが、相当の粉飾が施されているであろうにもかかわらず、明らかに病的なものが見て取れる。
 ベラスケスが優れているのは「神の手」ともいうべき超絶技法によるというより、一瞬でその人物の内面あるいはその後の運命までもとらえる人間観察力と、のちの印象派にもつながれるとされる技法の革新によるのだというのが、この日、理解したことである。
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 さて、冒頭に書いたとおり、この日まず最初に訪れたのは根津神社である。思い立った理由は、最近RX100をM3に買い換え、試し撮りをしてみたかったからである。
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 つつじ苑から楼門を望んだところ。宝永3年の建立。江戸の神社で楼門が残っているのはここだけだそうだ。
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 つつじ祭りは5月6日までだが、今年の天候から期待できないのは分かっていた。
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 まだ痛みのない花を探してみる。遅咲きのつつじもあるらしい。
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 乙女稲荷、駒込稲荷に続く千本鳥居を見下ろしてみる。
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 根津からどうやって上野に向かうか、いろいろ検討したあげく、徒歩で行くのが一番いいという結論に達した。約30分の道のりの途中に森鴎外居住之跡があった(現在は水月ホテル鴎外莊となっている)。ここに鴎外が住んでいたのは最初の妻である登志子との結婚時代のことだ。登志子とは1年半で離婚してしまったから、こちらにもどこか痛ましさが残る。
   ※
 RX100を買ったのは5年前だった。その後、機材が増えるにつれ、宙に浮いていた。M3は24mm始まりになったのと、小さいながらEVFがついた。発売は2014年。RX100より50g重くなったが、RX100シリーズはM4、M5となるにしたがってさらに重量が増えている。TX1との重量差は20gしかないが一回りは小さい。小さいことが善である場面もあるだろうと買い換えを決めた。RX100が20900円と私が購入したときの半額弱で手放せたことも決め手のひとつである。相変わらずのカメラバカである。





 

by yassall | 2018-04-27 19:23 | 散歩 | Comments(0)
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