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太陽光発電導入記・その5 そして「ベースロード電源市場」に反対する!

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 前回の投稿は昨年の8月13日だった。工事は7月6日に終わっているのに「系統連系」のための手続きの遅れで1ヶ月たっても稼働していない、という報告だった。もともと10年というスパンで考えなければ決断できないことだったし、太陽光発電が急速に普及しているための混雑であるならむしろ喜ばしいことであるが、再生可能エネルギーに消極的であることから滞っているのだとしたら不届き千万なことであった。
 というわけで、燦々と降りそそぐ太陽光を眺めてはやきもきしているうちに、「関東電気保安協会」の調査員が派遣されてきたのは8月29日のことであった。東電から直接調査に来ると聞いていたので少々面食らったが、「関東電気保安協会」という(一応)独立した組織があって、東電から委託されて保安業務にあたるということになっているらしい。このあたりは事前の説明が不十分だったし、東電に何度か問い合わせたときにもそのような説明はなかった。
 それはともかく、「調査」はものの15分ほどで終わってしまい、「今日から使えますよ」というので、早速スイッチを入れた。折から台風10号が接近。関東はそれほど激しい風雨に見舞われることはなかったのだが、9月に入ると例年になく雨続きの毎日が続いた。稼働が始まってすぐにでも報告しようと思っていたのに、一定の期間をおいてから、と思い直したのにはそんな理由があったのである。
 そうこうしているうちに年も改まり、この2月で半年目を迎えた。以下の数値は昨年9月から今年2月までの[発電量・売電量・売電率・予想発電量/実発電量]である。

   [発電量kWh]  [売電量kWh]  [売電率%] [実発電量/予想発電量%]
9月   234.82   138.70    59.06   123.59
10月  251.85   171.11    67.93   133.96
11月  226.49   147.50    65.12   128.69
12月  284.32   187.00    65.77   146.56
1月   335.34    223.90    66.77   149.04
2月   344.73   237.00    68.75   158.86


 縦横の揃ったきれいな表を作れず、少々読み取りづらいのは申し訳ない。冬至の頃を境に、発電量が低下していったり、急速に上昇していったりする様子がわかる。また、昨年9月の長雨の影響の顕著さも知れる。
 予想発電量というのは地域ごとの平均日照時間から割り出した、メーカーから提示されたシミュレーションである。9月から2月までを通した[実発電量/予想発電量]は140.97%であった。もともとメーカーでは80%くらいに落としてシミュレートしているとの説明があった。機器の経年劣化等も考慮しなければならないが、このまま順調に発電してくれれば10年間で初期投資の50%以上を回収できる計算になる。
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 さて、半年を経過して改めて感じたこと・考えたことを述べれば、太陽光発電は確かに天候に大きく影響されるということだ。昼夜についてはもちろんだが、晴れの日と雨雲に覆われた日と差も大きく、年間を通して安定した電源を得ることは困難である。地域差もまた大きいだろう。冬の間、屋根を雪で覆われてしまう北国では採算面からも導入は現実的でない。ただ偏西風の関係からだったか、日本列島全体をみると、風力発電は南日本より北日本に適しているのだという。要はどのようなミックスを考えていくかということと、地産地消ということばがある通り、その地域の特色をどう生かしていくかということではないかと思う。人口急減期の中で、地方再生という課題を実現していくためにも、将来を見通したプランニングが求められていると考えたのである。
 もう一つ考えたことは、太陽光発電に限らず、再生可能エネルギーの普及全体にいえることだが、個人個人のとりくみでは限界があるということだ。たとえば、マンション住まいの人は自宅の屋根にソーラーパネルを載せることは出来ない。では、太陽光発電は一軒家に住む人だけのものかといえば、そうではないと思うのだ。いつか反射光被害の問題を紹介したが、マンションの屋上はその問題をクリアする上で最適の場所だ。単に高層建築であれば近隣の住宅に反射光が差し込まないという理由だけではない。平屋根では反射光被害は起こりにくいのである(南向きのパネルの反射光は空にのみ向かう)。共有部分もあるにせよ、半分を太陽光発電エリアとするというようなコンセンサスが出来ないのだろうか? ルール化までは難しいとしても、国や自治体が補助金を出すとか、あるいは電力会社が借地料を出すとかしていけば、普及は早まるのではないかと思うのである。そして、広域にわたればわたるほど、天候の影響も最小限にとどめることが可能になるはずだ。
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 経済産業省は6日、有識者会合「制度検討作業部会」を開き、「ベースロード電源市場」を2019年度をめどに開設するための議論をはじめた、との報道があった。
 何のことかというと、大手電力会社と新電力会社との間の取り引きを企てようということであるらしい。
 昨年末、福島第一原発事故の処理費用が21兆5千億円との見通しが経産省から出された。その費用を原発による電力を販売しない新電力の契約者も含めて国民負担を増やす方針が決定された。
 今回の「ベースロード電源市場」というのは、その見返りとして「安く」安定した「ベースロード電源」からの電力を、これまでより安価で新電力会社に卸売りしようというものである。
 新電力会社の中には安定的で必要十分な発電量を担保した発電所を持っていなかったり(再生可能エネルギーのみによる電力会社のほとんどはそうだろう)、極端なときには自前の発電所を持っていない会社もある。そこで、「バックアップ契約」(新電力で何らかのトラブルが起き、電力不足が起きた時に、東電などの大手電力が必要な電力を融通してくれる、という仕組み)を結ぶことになる。「ベースロード電源市場」はこの新電力の弱みにつけこんで開設されようとしているのである。
 「原発を嫌って新電力を選んだのに、原発を使った電力を使わされることになるから反対」という批判の声があがる所以である。
 新電力の利用者が増えれば地域電力は原発を稼働させる口実がなくなる、と考えてわが家も新電力に切り換えた。少なくとも電力が不足するから「原発再稼働」という理由は成り立たなくなると考えたのだ。
 だが、損害賠償費用や廃炉費用を上乗せしなければならないという一点で、原発=安価な電力という神話は崩壊しているはずだ。政府も電力会社も、まずそのことを認めなければならない。そこのところをごまかして、原発による電力はごめんだ、と思っている人々にまで無理矢理使わせようとすることに心の底からの怒りをおぼえる。
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 ちなみに、現在わが家が契約している東京ガスは従来からも「風力発電の会」に出資しているが、この2月23日、太陽光発電ベンチャーの自然電力と資本業務提携を結び、特定目的会社を設立して全国7カ所程度で出力計6万kwの太陽光発電所を造ると発表した。
 太陽光発電の買い取り価格は年々下がっている(!)実情にあるが、自然電力の磯野社長は「世界的に再生エネのコストはまだ下がるので、もっと拡大できる」と語ったという。
  ※
 一方、昨日の新聞に、フランスの原子力大手アレバの昨年の純損益が6億6500万ユーロ(約800億円)の赤字になったこと、そのアレバに三菱重工業と日本原燃が計約600億円を出資するという記事が掲載された。原子力大国のフランスであるが、福島原発事故以降、安全対策費が経営を圧迫し、アレバは6年連続の赤字(累積赤字105億ユーロ)だという。三菱重工業と日本原燃はアメリカのWHの巨大赤字に巻き込まれた東芝の二の舞にならないのか? 
 さらに、昨日の「報道ステーション」では東海村で高濃度放射性廃棄物の処理がにっちもさっちもいかなくなっているという特集があった。もはや、純粋に「もうけ主義」に徹したとしても原発は採算に合わなくなっているばかりか、将来に重い負債を残すばかりであるということをどうして理解できないのだろうか?

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 パワーコンディショナ(写真は設置時)は太陽光パネルで発電した電気を家庭で使用できるように変換する装置。最初、太陽光パネル(モジュール)のメーカー保証が15年であるのに対し、パワーコンディショナは10年という説明であったのだが、送られてきた保証書にはパワーコンディショナも15年保証の対象になっていた。耐久性に関する技術の向上があったのだろう。なお、保証は自然災害の場合にも適用されることになっている。


 この記事を書き終えたあと、こんなニュースもみつけました。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/030806629/?rt=nocnt


by yassall | 2017-03-08 17:00 | 日誌 | Comments(0)
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