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アンジェイ・ワイダの死

 9日、アンジェイ・ワイダが死んだ。90歳だったという。昨日、東大附属中等教育学校演劇部の芝居を見に行った帰路、一緒に行った仲間と新宿で一献傾けながら、偶然にもワイダのことを話題にした矢先だった。
 「世代」(1954)、「地下水道」(56)、「灰とダイヤモンド」(58)の抵抗三部作は全部見たし、TVで放映されたときは見逃さずに録画した。とくに「灰とダイヤモンド」は、ポーランド映画特集があったときなど、何度も劇場公開されたが、都合のつく限りは見に行った。
 「灰とダイヤモンド」はイェージイ・アンジェイェフスキの長編小説をワイダが映画化したものだ。邦訳されたワイダの脚本も持っている(『社会主義の苦悩と新生』現代世界文学の発見11所収、学芸書林1970)。
 後年の「大理石の男」(1977)も「鉄の男」(81)も見たし、ワイダ80歳でとりくんだ「カティンの森」(2007)では映画に生きた監督魂が伝わってきた。
 だが、私にとってのワイダはやはり「灰とダイヤモンド」なのである。マチェックとクリスティーナが荒れた教会の壁に刻まれたノルウィドの詩を読み上げるところ、ワルシャワ市街戦で地下水道を彷徨い目を痛めたマチェックが、カウンターに並べられたグラスの酒に火を付けながら戦友たちを悼む場面、マチェックと別れた後その運命を知るか知らずでか、群舞の中でポロネーズを踊るクリスティーナのうつろな表情……。
 印象に残る場面を数え上げたら切りがないが、任務を終えたマチェックが宿を引き払うとき、扉を開けるマチェックを差し込んできた朝日がつつみ、まるで光の中に身体が溶け込んでしまいそうになる場面など、モノクロ映画の技法を駆使しつくした映画づくりにだただ驚嘆するしかなかったのだ。

 ※明日から2泊3日の小旅行に出かけて来ます。そんなわけで東大附属演劇部の感想は少し後になります。旅行記よりは先行させるつもりでいます。


by yassall | 2016-10-10 15:42 | 雑感 | Trackback | Comments(0)
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