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学校図書館法「改正」後の課題について

 6月13日、「学校図書館法の一部を改正する法律案」が衆議院本会議でも可決された。この後、参議院で審議が行われる。
 本来なら参議院も通過し、法律として成立してから話題にした方がいいのだろうが、このところ学校図書館に関する記事にアクセスしてくれる人がけっこうおいでなので、法案成立後の課題として私が考えているところを書いてみたい。ささやかな問題提起になればと思う。

 その前に、前回1997年の学図法「改正」の附帯決議との比較をおこなったが、もういちど要点を整理しておきたい。
 ①いうまでなく「附帯決議」には法的拘束力はない。実際、早々と「司書教諭」との一本化と決めた自治体もあった。しかし、今回は法律として制定されようとしている。
 ②「附帯決議」には「現に勤務するいわゆる学校司書がその職を失う結果にならないように配慮」することとあった。
 「附帯決議」は「現に勤務する」学校司書の身分の保護にふれたものであって、将来にわたって「置くよう努めなければならない」とする法案とはその職務の重要性に対する認識においても、普及および継続を示唆している点においても大きな違いがある。
 ③これまで文科省は「学校司書」という呼称に慎重な姿勢を崩そうとして来なかった。「学校図書館を担当する事務職員」といういい方を続けてきたし、ときおり「いわゆる学校司書」といういい方をすることがあったに過ぎない。今回、かなりためらいがちではあるが、「学校司書」という呼称を用いている。(※この問題についての私見はあとに述べる。)
  ④さらに附則では、その「職務の内容が専門的知識及び技能を必要とするもの」であることを明記している。
 ※「職務の内容」がどのようなものであるかについては、3月に出された「これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(報告)」が参考になる。(「案」の段階での私見については以前に書いた。)

 さて、法案成立後の課題として私が提案しようと思うのは次の4点である。国および各自治体において、法律をどのように運用していくかの問題である。

 ①「学校司書」という職名を一般化すること。各自治体にあっては学校管理規則に職名を明記させること。
 固有の職名をもつということは固有の職務の存在を認めることである。これまで、学校司書を置いて来た自治体にあっても「学校事務一般」との区別されることを避けて職名を定めなかったり、カッコ付きにしていたりした。今回は法律で「「学校司書」という」としているのである。
 また、図書補助員とか整理員といった呼称の不統一についても「学校司書」と改めるようにしていきたい。もちろん、そのためにはその専門性の内実を作っていくことが大切なことはいうまでもない。

 ②独自の採用試験を実施させること。
 法案に、「職務の内容が専門的知識及び技能を必要とするものであること」とあるのが根拠になるだろう。
 「学校司書としての資格の在り方、その養成の在り方等について」は検討課題となっている。そこで、募集にあたっての資格要件や、独自の採用試験を実施しようとする場合に試験内容をどうするかについて、現時点での決定項を欠くことになる。
 だが、方向性として、図書館に関する科目、学校図書館に関する科目、教育学・教育法規等に関する科目が基礎になることは疑いないと思われる。現在でも、多くの自治体が「司書講習ないしは司書教諭講習の単位を履修していること」といった基準をもうけている。将来、独自の資格あるいは免許が確定した段階においても、現職者が基礎的な科目を履修していれば一定の読み替えは可能であるだろうし、残りの単位修得も比較的容易になるだろう。

③専任の職員とすること。
 法案にいう「専ら学校図書館の職務に従事する職員」が根拠となるだろう。

 ④これまでの蓄積を活かした研修体制を作り上げること。
 法案が「国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」(6条2)としているのは、専門性に立った「学校司書」の資格を定め得なかった限界を示している。
 しかしながら、「研修」の義務化はまた研修権の認知でもある。「国及び地方公共団体」によって組織的に行われなければならないとしたところにも、運用によっては可能性を大きく広げることができる。
 めざすところは「学校司書」の全校配置であるが、逆にいえば「学校司書」は各校では一人職種であることが大多数であろう。「学校司書」を各学校で孤立させないためにも研修会等の実施は必須である。
 その際、これまでの蓄積を活かす観点から、再任用者による支援員制度をもうけたり、各自治体・地域ごとに支援センターを設立したり、既存の研究団体と協力したりすることが検討される必要がある。

 このように並べてみると、どれも実現には多くの困難が予想される。法案が成立すれば、実施は来年度当初からということになる。この一年間で出来ること、来年度以降の運動への布石として打てること、すぐにでも行動を開始して欲しいと思うのである。

 最後に、「専ら学校図書館の職務に従事する職員(次項において「学校司書」という。)」という条文の煮え切らなさについて一言する。
 私個人としては、「学校司書」という職名を確固とするためにも、学図法のみならず学校教育法に職名が明記されるべきだと考えている。「司書教諭」と比較してみれば分かりやすい。学図法では「司書教諭」は教諭をもって充てるとしている。学校教育法に明記されている職名は「教諭」なのであり、「司書教諭」はいわゆる「充て職」なのである。(つまり、厳密にいえば「司書教諭」という職は存在していないのである。)
 その意味では「「学校司書」という」といういい方はいかにも煮え切らない。ただ、これは新たな職をもうけることによる予算措置に慎重な行政側の思惑ばかりではなく、学校図書館職員をめぐる全国的な現状を反映してもいるのだということは認めなければならない。
 各自治体、各校種によって、資格も採用形態もばらばらであるという状況があり、しかもそれぞれに一定の歴史的蓄積が存在している。それらを統一してからでなければ先へ進めない、あるいは一気に基準を定めて基準にあてはまらないものは切り捨てる、というのも乱暴な議論である。
 それらを踏まえながら、上記の①~④を提起したつもりである。各学校に配置されていく「学校司書」が有する基礎的な資格や身分が安定的になっていくことで、次の段階へとすすんでいくための条件も整っていくのだと考えるのである。


 《参考1》 学校図書館法の一部を改正する法律案

 学校図書館法(昭和二十八年法律第百八十五号)の一部を次のように改正する。

 第七条中「国は」の下に「、第六条第二項に規定するもののほか」を加え、「左の」を「次の」に改め、同条第三号中「前各号」を「前二号」に、「外」を「ほか」に改め、同条を第八条とする。

 第六条を第七条とし、第五条の次に次の一条を加える。

 (学校司書)

第六条 学校には、前条第一項の司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(次項において「学校司書」という。)を置くよう努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

   附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。
 (検討)
2 国は、学校司書(この法律による改正後の学校図書館法(以下この項において「新法」という。)第六条第一項に規定する学校司書をいう。以下この項において同じ。)の職務の内容が専門的知識及び技能を必要とするものであることに鑑み、この法律の施行後速やかに、新法の施行の状況等を勘案し、学校司書としての資格の在り方、その養成の在り方等について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。  

 理 由
 学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、学校司書を置くよう努めるとともに、国及び地方公共団体は学校司書の資質の向上を図るための研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


 《参考2》 「学校司書」に対する文科省の態度の変遷

○「学校図書館法の一部を改正する法律等の施行について(通知)」(1997/6/11)
「学校図書館担当の事務職員は、図書館サービスの提供及び学校図書館の庶務・会計の職務に従事しているもの」
○「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(2002/8)
「学校図書館を担当する事務職員は、司書教諭と連携・協力して、学校図書館に関する諸事務の処 理に当たっている。今後、学校図書館の活用を更に充実するため、各地方公共団体における事務職員の配置の取組を紹介して、学校図書館の諸事務に当たる職員の配置を促していく。」
(旧案『学校図書館を担当する事務職員は、司書教諭を補佐し、学校図書館に関する諸事務の処理
に当たっている。』)
○「文字・活字文化振興法」(2005)
 2 国及び地方公共団体は、学校教育における言語力の涵養に資する環境の整備充実を図るため、 司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備、学校図書 館の図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等に関し必要な施策を講ずるものとす る。(8条)
○「学校図書館のチカラを子どもたちのチカラに」(2008/6)
 「学校図書館活動の充実を図る上では、例えば高校だけでなく、小中学校にも「学校司書」を配置して、司書教諭等と連携しながら、多様な読書活動を企画・実施したり、図書サービスの改善を図ったりしていくことなども有効です。」(学校図書館の諸事務に当たるいわゆる「学校司書」は、各地方公共団体・学校の実情に応じて、その配置が勧められてきています。)
○「これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)」(2009/3)
 「学校図書館の業務の専門性を考え合わせると、専門的な知識・技能を有する担当職員である、いわゆる「学校司書」の役割が重要となる。学校図書館担当職員については、現在、その職務内容の実態等は様々となっているが、「学校司書」として、図書の貸出、返却、目録の作成等の実務のほか、資料の選択・収集や、図書の紹介、レファレンスへの対応、図書館利用のガイダンスなど、専門性を求められる業務において大きな役割を担っている例が少なくない。」
○中教審「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」答申(2010/7)
 「学校教育の中で学校図書館が十分に活用され読書活動が推進されるよう、学校図書館業務の充実に向けた教職員定数の改善が必要」


by yassall | 2014-06-17 12:57 | 学校図書館 | Trackback | Comments(0)
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