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「これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(報告)(案)」を読んで

1 はじめに
 文科省のHPに標記の「報告」(案)がアップされたことを教えてくれる人がいた。これは読んでみなくてはなるまいと考えたのは、この3月18日に子どもの未来を考える議員連盟・文字・活字文化推進機構の主催で「学校図書館法改正をめざす国民の集い」が開かれようとしているからだ。
 昨年6月12日、「子どもの未来を考える議員連盟」総会が開かれ、衆議院法制局から「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」が提示された。その際に、「今月中ぐらいには「有識者会議」を置き、司書の役割、機能、業務内容、質の確保、司書教諭との役割分担などについて論議し、半年くらいでとりまとめたい」とのこともアナウンスされた。
 そのとき示された「骨子案」は以下のようなものであった。

   1 学校には、司書教諭のほか、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進を図るため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(2において「学校司書」という。)を置くよう努めなければならないこと。
   2 国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。

  この「骨子案」をもとに作成されようとする法案が「報告」(案)と深く関連していることは明らかであり、法案が示される以前にあっても以後にあっても、その概略や問題点、今後の課題について考える上で示唆するものが多いと思われるのである。

 「報告」(案)とある通り、HPにPDFでアップされている本文は会議における審議を反映してか赤字による添削の跡がそのまま残されている。もともと読みやすくはない上に、プリントアウトはせずにモニターで斜め読みをした段階である。今後、私見についても訂正したり補足したりしなくてはならないかも知れないが、とりあえず気がついたところを述べてみたい。

2 「報告」(案)にいたる背景
 まず、「報告」(案)がなされるにいたった背景についてみておきたい。文科省が「学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究協力者会議」(以下、調査研究協力者会議)を設置したのは昨年8月であるが、その設置の「趣旨」にはつぎのようにある。

   学校図書館活動の充実を図る上では、専ら学校図書館に関する業務を担当する職員(以下「学校図書館担当職員」という。)を配置し、当該職員が、司書教諭等と連携しながら、学校図書館に係る活動に取り組んでいくことが有効である。厳しい財政状況の中、学校図書館担当職員を配置する学校が近年一貫して増加していることからも、その必要性が強く認識されていることがうかがえ、今後も各自治体において、その配置が増加していくことが見込まれる。
     このような状況を踏まえ、有識者等の協力を得て、学校図書館担当職員の役割やその資質の向上に関して関係者が共有できる一定の方針を得るため、学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究を行うこととする。

 学校図書館活動の充実のために「学校図書館担当職員」が「学校図書館に係わる活動に取り組んでいくことが有効」であり、さらに「厳しい財政状況」の中でも各自治体で配置がすすんでいることがその証明になっているとし、その存在と役割、および実態に対する認識に立っている。
 さらに、「今後も各自治体において、その配置が増加していくことが見込まれる」という見通し(「報告」(案)では、政府としても「24 年度以降,所要の地方財政措置が講じられて」いることが述べられている)に立っている。
 ただ、「各学校に配置されている学校図書館担当職員は、勤務形態や経験年数、保有する資格等の状況が各々により様々」であり、「全ての学校における学校図書館担当職員が同一の職務を行っていくことを求めることは、必ずしも学校現場の実態には沿わない」状況にある。しかしながら、それを放置してよいわけではなく、「学校図書館に関する種々の教育活動に携わる学校図書館担当職員が担う職務の在り方について、関係者間で一定の共通理解を有しておくことは極めて重要なことである」(「報告」(案))。
 その「共通理解」、すなわち「学校図書館担当職員」が果たすべき役割と職務についての基準を示そうというのが調査研究の目的ということになる。

3 「報告」(案)の積極面
 「報告」(案)を読んで私が積極面として評価してよいと考えた点をあげてみたい。

 (1)学校図書館をめぐる実態を踏まえようとしていること

 1997年の学校図書館法(以下、学図法)「改正」後の学校図書館の実態を踏まえようとしていることは評価に値すると考える。「充て司書教諭」の配置後、予想したようには学校図書館の活性化がはかれなかったこと、とくに小中学校で「学校図書館職員」の配置がすすんだことは誰にも明らかであった。法令上の「建て前」ではなく、実態から出発しようとする姿勢は重要である。

 (2)「学校図書館担当職員」の専門的・教育的役割を認めていること

 「報告」(案)には、「学校図書館の利活用の促進に貢献してきた学校図書館担当職員が、児童生徒に対する教育活動を教員とともに進める機会は多くなっており、期待される役割もますます大きくなっている」とあり、「学校図書館担当職員」が「教員とともに」教育活動を勧める立場にあることを明記している。

 (3)教員と「協働」関係にあることを認めていること

 「報告」(案)は、「学校図書館経営に関する方針や,目標・計画,学校図書館利用指導・年間利用計画,年間読書指導・計画,年間情報活用に関する各種指導計画等」は、「一般的には、教育指導に関する専門的知識等を有する司書教諭がその立案・取りまとめに従事」し、「学校図書館担当職員の職務としては,図書館資料(中略)、電子資料(中略)とその利活用に関する専門的知識等に基づき、必要な支援を行うという形態が想定される」といちおうの役割分担を提起しつつも、「実際には両者は協働して当たることが求められる」としている。

 (4)「自由な読書」「自発的・主体的な学習活動」を強調していること

 「報告」(案)は、学校図書館が果たすべき機能について「豊かな心や人間性,教養,創造力等を育む自由な読書活動や読書指導の場である「読書センター」としての機能と、児童生徒の自発的・主体的な学習活動を支援したり、授業の内容を豊かにしてその理解を深めたりするとともに、児童生徒や教員の情報ニーズに対応したり,児童生徒のするとともに、情報の収集・選択・活用能力を育成したりする「学習センター」及び「情報センター」としての機能」の三つをあげている。学校図書館をめぐる昨今の動向をみるとき、「報告」(案)が「自由な読書」「自主的・主体的な学習活動」を強調している意義は大きい。

4 「報告」(案)の課題
 学校図書館職員をめぐって、「専門・専任・正規」の「学校司書」の法制化をめざしてきた立場からすると「報告」(案)には課題もまた多いといわざるを得ない。

 (1)「学校司書」という名称を避けていること

 学校司書については文科省においても「いわゆる「学校司書」」といういいかたをするようになってきた経過がある(「これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)」2009/3など)。
 「報告」(案)においても、冒頭では「学校図書館担当職員(いわゆる「学校司書」)」と記述しながら、以下のような理由からその呼称をもちいないとしている。

   専ら学校図書館に関する業務を担当する職員(教員やボランティアを除く)の呼称に関し、全国の各地方公共団体や学校では様々な例があり、一般には「学校司書」と称されることが多いと思われる。ただし,①任用する各地方公共団体や各学校における公称としては必ずしも「学校司書」に限らない呼称が用いられていること、②図書館法(昭和25 年法律第118 号)にて公的資格と定められている「司書」という語句との対比で、「学校司書」も公的資格であるとの誤解を招きやすいことから、本報告書においては「学校図書館担当職員」という語句を用いる。

 「公的資格であるとの誤解」を避けるためというのは、将来にわたって「学校司書」を「公的」な職名としないという意味であろうか、それとも学図法「改正」前であるからで、その「改正」にあっては新たな「職」として誕生することを否定はしていないということであろうか。

 (2)「正規」の職員であることを明言していないこと

 このことは「報告」(案)がその採用のあり方が「正規」であるべきことを明言しようとしていないこととも関わっている。
 先に引用した「各学校に配置されている学校図書館担当職員は、勤務形態や経験年数、保有する資格等の状況が各々により様々」の直前には、削除された部分として「非常勤として勤務する場合が多かったり、また、必ずしも全ての学校図書館担当職員が教員免許、司書教諭資格や司書資格を保有しているわけではなかったりするなど、それぞれの学校ごとに違いがある」の文言があった。
 「報告」(案)がこれらの問題を解決する方向に向かおうとしているのか、こうした現状を是認する方向に向かおうとしているのかが問われている。

 (3)「専門性」を担保する資格について触れていないこと

 上記で興味深いのは、「学校図書館担当職員」の資質能力を向上させ、その職務を果たさせるためには行政サイドが「研修」を行う必要がある(※)としているのだが、その根拠につぎをあげている点である。

   地方公務員法(昭和25 年法律第261 号)にいう一般職に属する地方公務員の場合、同法第39 条第1 項により、「研修の機会が与えられなければならない」とされている。

 地方公務員法が「研修」の根拠になっているとするならば、「学校図書館担当職員」は公務員として採用されることが前提となることになる。ただし、「一般職に属する」地方公務員への適用を根拠としていることは逆にその「専門性」を認めたうえでの、新たな「職名」を設置する意志がないこと、あるいはないと見られても仕方がないことになる。
 ※「学校図書館担当職員」(「学校司書」)が配置されるようになったとき、各校では職種としては単数であることが想定される。その場合、配置された職員が十分に職務を遂行するためには当人およびこれを受け入れる学校の体制づくりのために、行政が積極的に「研修」(および情報交換)を実施することは、資格の有無にかかわらず、必要不可欠なことであると考える。これは現に配置をすすめている自治体での教訓でもある。

5 おわりに
 まだまだ分析も言及も足りないところであろうがとりあえずの第一稿としたい。
 「報告」(案)が「「学校図書館担当職員」が果たすべき役割と職務についての基準」を必要であると考えているならば、もっとも適切で効果的な方法は「学校司書」を法制化して「専門・専任・正規」の職員を配置することである。
 私たちが期待するのはその道すじを明らかにし、その資格要件(「報告」(案)も、添削された部分ではあるが、「学校図書館担当職員」が保有する可能性として「教員免許、司書教諭資格や司書資格」といった資格をあげている)をさだめ、必要な法的整備をすることである。
 「報告」(案)がそこまで踏み込まなかったことはまことに残念であるが、来るべき学図法「改正」にあたっては少なくとも「学校司書」の職名が明記され、その存在と役割についての認識がすすみ、「教育の機会均等」のためにも全国で配置が促進され、各学校で確固とした地位を占められるようになってもらいたいと切に願うものである。



by yassall | 2014-03-08 22:19 | 学校図書館 | Trackback | Comments(0)
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