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正邪曲直自ずから分明

 斉藤隆夫は戦前にあって立憲政治の立場から軍部を鋭く批判した気骨の政治家である。弁舌にすぐれ、普通選挙賛成演説、粛軍演説、反軍演説が斎藤の三大演説とされる。
 このうち反軍演説として名高いのは、1940年(昭和15年)2月2日の「支那事変処理中心とした質問演説」である。「世界における戦争の歴史に徴し、東洋の平和より延いて世界の平和が得らるべきものであるか」との追及に、軍部および親軍部に傾斜していた議会内の諸党派は「聖戦」を冒涜するものであるとして議事録からの抹殺をはかった。
 そればかりか、3月7日には議員の圧倒的多数の投票により、衆議院から斉藤を除名した。しかし、1942年(昭和17年)総選挙では、軍部などからの選挙妨害をはねのけ、翼賛選挙下で非推薦でありながら、兵庫県5区から最高点で再当選を果たしたのだった。
 斉藤をふたたび議会に送り出した人々をふくめ、「美しい日本人」というのはこういう人たちのことをいうのではないだろうか。
 タイトルは斉藤の反軍演説から。大意は「正しいか過ちであるか、真実をねじ曲げているか、真実そのものであるか、その答えは自ずから明らかである」というところか。
by yassall | 2013-07-17 12:54 | 雑感 | Comments(0)
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