アンソール展へ行ってきた。開催は11月11日までなのですべり込みセーフというところ。アンソールは以前にも見たことがあったような気がしていたので、どうしようかとぐずぐずしているうちに(いつものことだけれど)ギリギリになってしまった。
骸骨と仮面という禍々しい世界を描きながら、なぜか心を引き寄せられてしまうのは、どこか祝祭的な雰囲気があるからだろうか? それとも祝祭そのものが本来禍々しさを本質としているからだろうか?
今日の展覧会によると、アンソール自身はブルジョワ的な世界観に精神的基盤を持っていたようで、必ずしも中世的・神話的世界に親和を感じていたような人物ではないらしい。まあ、ちゃんと研究したわけではないからそれは分からない。また、時代を考えればそれらは否定すべきものでもない。
ところで西洋絵画にはよく骸骨がモチーフに用いられるが、これは「メメント・モリ(死を忘れるな)」という表象として描かれるのだとのこと。これに関連して「死の勝利」という題材があって、これは愛は純潔に勝てず、その純潔も死には勝てない、という14世紀イタリアのペトラルカという人の「凱旋」という詩から来ているとのことだ。では、死が最終的な勝利者であるかというとそうではなく、死に勝るものは名声、さらに時と続き、最後に勝利するのは永遠である、ということになるのだとか。
どこで読んだのだったか…。まあ、こんな雑談を知ったかぶりについ付け加えたくなるのも、長い教員生活の性というところでしょうかね。
損保ビル(新宿)42階からのながめ。こちらもけっこうシュール。もう少し夕暮れの雰囲気があると良かったのだけれど。
損保ジャパンビル。入館前の空模様はこんな感じ。