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ティツィアーノとヴェネツィア派展

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 2日、「ティツィアーノとヴェネツィア派展」を見に東京都美術館まで出かけてきた。昨年10月に「ヴェネチィア・ルネサンスの巨匠たち」を国立新美術館で見たとき、ヴェネツィア派はもういいやと思っていたのだが、なかなか評判がよさそうなのでその気になったのだ。
 これ一枚はチラシにも採られた「フローラ」だった。予想通りだなと思ったが、この一枚を見ることが出来ただけでよかったし、展覧会はそうしたものだ。
 感じたことが二つ。フローラはローマ神話における花と春と豊穣の女神である。この絵にはヴェネツィアの高級娼婦をモデルにしているという説があるが、それはフローラを祀るフロラリア祭が神官とともに遊女も参加する奔放な祭りあったことから来ているようである。神聖娼婦は古代から世界各国に存在し、日本においても神につかえる巫女が中世においては遊女でもあったという歴史がある。聖と俗、貴と賎はどこかで繋がっているのかも知れない。
 ティツィアーノの別の代表作である「ウルビーノのヴィーナス」とどことなく面影が似ているので同一のモデルを使ったのかとも思ったが、制作年代が1515年と1538年と隔たっているので異なるのだろう。特定のモデルを使ったというより、画家の中で理想化された女性像だったというのが確かであるようだ。
 感じたことのもう一つというのは、顎の線や左手にみられるふくよかさである。豊穣の神にふさわしいといってしまえばそれまでだが、下ってはルノワールにも影響を与えたというのはうなづける。してみるとルノワールの絵画にもどこか祝祭的な要素があるのかも知れない。
  「受胎告知」は国立新美術館でみたときやはりこれ一枚と思った。今回、「ウルビーノのヴィーナス」も来ているのかと期待していたし、「ウルビーノ」の横たわる裸婦像に影響を与えたというジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」も並べて展示されていたりしたら、いっそう充実した美術展になっただろうと考えてしまうが、そうもいかないのだろう。
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 東京都美術館は出口を出たばかりのところに記念撮影コーナーが設けられている。せっかくなので一枚撮らせてもらった。


by yassall | 2017-02-03 16:06 | 日誌 | Comments(1)
Commented by desire_san at 2017-03-24 21:55
こんにちは、
私も『ティツィアーノとヴェネツィア派展』を見てきましたので、ブログを興味深く読ませていただきました。ティツィアーノの『フローラ』のつややかな肌の質感の表現のすばらしさから、『ダナエ』の美しい色彩感覚とは動的な表現と画風が変化しているのを興味深く感じました。眼に涙を浮かべ天を仰ぐ『マグダラのマリア』は大変美しく、マリアの敬虔さと美しい女性の適度の官能的側面がよく調和に魅力を感じました。

私もこの美術展を見て、代表的な作品の魅力とヴェネツィア派絵画とフィレンツェやローマのイタリアルネサンスとの違いを考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。内容に対してご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。

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